聖なる夜に
私は愛されているのだろう。
私の言い回しからすると、
きっと「ひどく」愛されているのだろう。
それでもどこか足りなくなる。
贅沢者なのだ。
忙しい仕事終わりに
チキンとケーキを両手に持った恋人と帰路につく。
冷蔵庫には高いシャンパンと赤と白のワインが冷えていた。
夜がどんどん更ける。
だけど私はあまり飲まなかった。
聖なる夜に、恋人の隣で昔の恋人を想って泣いた。
小田和正の歌は、時に全てを蘇らせる。
大切なのは、空気とシュチエーション、そしてやっぱり共感出来る感性のようだ。
ロマンチックな昔の夜のように今夜を過ごせれば良かったけれど、きっともう二度とあの頃のような艶やかな夜を過ごす事はないのだろう。
恋人と外人の子供達のようにはしゃいだホームパーティーをしたけれど、
どこか違った。
楽しいばかりが全てじゃなく、
儚さや美しさまでもが混在したあの当時の夜に戻りたくなった。
寒い部屋で
ピアノの戦慄があって
互いが幸福感と愛しさに
嬉し泣きし合った
あの夜に。
貴方も、そう感じていますか?